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幼女と歌い手、何処かへ旅立った医者が暮らす場所
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                                  ゼクス
                    クロエ     ハース   エイエン
アライア         クリストファー               リルム       トウカ

(これで分かってという無茶なお願い)

クリストファー(生徒会長)
クロエ&リルム(副会長)
エイエン&アライア(書記)
ハース&トウカ(会計)
ゼクス(評議会議長)

もしかしたら小説か、漫画か、イラストを書くかもしれないね…byノワール(笑)
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「アライアはどうして料理が出来るの?」

この質問にアライアの家族の一人、もとい犬のように拾われた
双子の片割れのラルアーノが答えようか。

それはまだアライアがまだ故郷でいたころの話。
あの頃は暗殺者として働いていたんだっけな。
俺は妹のライアーノと一緒に待っていたんだけど、
流石に毎日食べさせて貰っているのに恩返しも出来ないのは悪いと思ってさ。
アライアのために晩御飯を用意してあげようという優しさから生まれたんだ。

んで、アライアの家族からも了解を貰って
(上の連中はハラハラしていたけど俺達はもう15だ。
一人でご飯だって作ることなんて簡単)
台所を借りたのは良かったんだけどさ、
いざ何か作ろうと思えば案はまとまらないもの。

「兄さん。何を食べさせたらアライアは喜ぶかな。」

「そうだな……そもそも俺達、アライアの好きなもの聞いた事があったか?」

「あ。」

いきなり困難という名の壁にぶつかった。
まあ尋ねたとしても「食べれるものなら」と簡単に答えられそうだから、
なんの参考にもならないのは目が見えていることだけど。
俺は野菜を手にするまま考えこむ。

「無難に鍋、カレー、肉じゃかとか?」

「最後は東国に伝わる料理だよね。分かります。」

「そんなの作れるかー、って突っ込みほしかったかも。」

「ユーモアな返事を兼ね備えているわけじゃないからね。」

ああ双子なのにこの意見の食い違いに俺は涙する。
双子だからって何でも通じ合えると思ったら大間違いだよ。こんちくしょ。
と、俺がいじけている間に妹の行動は手早い。
いつの間にかガスに火をつけているのだから。

「ちょっ、もう何作るか…」

「決めたわよ。」

さらりとなんでもないようにいう妹。

「まあ兄さんは手伝わなくていいわよ。
やっぱり私は女の子なんだから料理が出来て当然よ。
それでアライアに褒めてもらうの。
で、アライアの給料日に服とか買って……」

命の恩人にたかるのは間違っているとお兄さんは思うんだ。
目を細めさせてみるが妹はアウト・オブ・眼中!
おかしいな。なんだか目から汗が滲み出てきた。
突っ込みたい気分な俺から完全に意識を逸らして、
妹は料理を作り出しはじめる。
ザクザクと手際よく野菜を切る妹に「おお」と感動しつつも、
俺は完成品が出来るまで邪魔しないように本でも読む事にした。



晩御飯の時間。

「新しい毒の開発?」

仕事から帰ってきたアライアの第一声はこれである。
俺は「い、いや、一応晩御飯のつもりだよ。」とフォローをしているが苦しいものがある。
紫のスープの表面に浮かぶのは得体のしれない緑色の…あれカビじゃないかな。
キノコもあるんだけど虹色のカラフル…明らかに毒入りですと象徴してるし。
お肉を焼いたつもりなんだろうけど焦げて黒いし、
臭いも相当…これを毒だといわずになんだろうかと言いたくなるのは分かる。
だが当の作った本人は胸をはり自慢げに
「私が作ったのよ」と、喜んでいる。
一度、味見をすることを誰かから教わったほうが良いんじゃないかな。

「楽しいとは何?」と、感情表現皆無なはずのアライアでさえ、
額からだらだらと汗が流れている。
多分、動物的直感で『これは危険物』だと、いうことが肌で感じ取れているんだね。
俺も一緒に作るべきだったかと後悔したが遅い。
出来てしまったのだから妹は無理矢理でも食べさせるに決まってる。

「食べないといけないのか?」

「うん!ほらアライアお腹すいてるでしょ。」

「食べれる?」

「なに?私の料理が気に食わないっていうの。
ほら遠慮せずに食べて、食べて。」

槍みたいにアライアの口めがけてスプーンで突いた。

「んぐっ!?」

なんて行動力がある妹。
むしろアライアに殺されないかなぁと心配したが、
その心配は無用だった。
何故ならアライアが魂抜かれたように真っ白になっているから。
「真っ白に燃えつきたぜ」のあの名言みたいな感じ。
硬直しているアライアに俺は手を振る。

「おーい、アライア、アライア!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「もうアライアったら、そんなに美味しいからって気絶しなくても。」

鬼!?悪魔!?
妹をさげすみたい気持ちが支配されたけど
俺にはそんな妹を注意してやることも出来ないんだ。
滲みでそうな涙を払うように俺は目尻を払う素振りをみせる。
高笑いする妹がなんだか魔王を連想させた。

実はその日からアライアは自分で料理を作るようになった。
必死な様子からは妹の料理を二度と食べたくない思いが伝わる。
グッジョッブアライア。俺はそっと親指を立てつつも
その様子を生暖かく見守る事にした。

がぁら学園(パロディ)
※これはあくまでパロディです。苦手な方はバックなのー。


皆さんこんにちはなの。
このがぁら学園高等部新入生。
期待の華と呼ばれているエースノワール。
……………………ごめん、嘘をついていたわ。
私は保険医でみんなの面倒をみているの。
え?嘘をつくな。まあ言われてみれば
9歳児にみえる外見だと信じてもらうのは難しいと思うのよ。
第一高校生すらも見えないのは事実。
だから理事長にお願いをして先生の子供として行き来しているわけ。
女は秘密が多いほど美しさが増すものなのよ。
と、雑談はおいておくとしてがぁら学園高等部。
この世界のことをちょぉぉぉと教えてあげるわね。
がぁら学園では魔術師や剣士などを目指したいところがいく養成学校なの。
大抵は冒険者を育成するために作られた所らしいのだけど、
中には神官から盗賊など危ない職業を役立たせるために利用するっていう人もいるわね。
自宅から学園に通う人もいれば、寮生活をしている(実はこっちの方が多いの)人もいるわ。
第一目的は冒険者養成学校な所為なのか、
他国からやってくる人が多いみたい。
そんな学校を取り締まっているのが聖堂生徒会。
なんで「聖堂」が付くかと言うと、
そこにいる生徒会全員が聖堂暮らしをしているから。
普段ならバラけていたりするものなのだけど、
今年は何の因果があるのか…。
仕掛けられた感をしちゃうのだけど
正式に選挙で決まったことだから確かなんだろうね。

ここで生徒会の紹介なのー。
別に知らなくてもいいとか言わないで欲しいの。
此処の学園では彼らのことを知っておいた方が
いろいろと過ごしやすい生活を約束されているよ。
まずは…。

「はぅわ!!」

ぼんやりと考えている私にぶつかってきた。
男子服を着ている黒のポニテの人物は慌てたように頭を下げる。

「ごめんなさい」

「気にしなくていいのー。」

ちゃんと前をみて歩いてほしいものね。
さて私にペコペコとしている情けない子。この子はアライア。
1年聖堂生徒会書記。なんでも同じクラスの自称迷宮アイドルアガタちゃんに
選挙活動を勧められ立候補したらしい。
アガタちゃんに引きずられて旗を振る姿は未だに生徒の記憶にも残っている。
ドジっ子、マヌケ、ナメクジという悲しいあだ名をつけられている生徒。
アライアはぶつかって散らばっている書類を慌てて拾う。

「何をしている。」

そんなアライアに続いて書類を連れてきたのはエイエン。
可愛いか、美人かと質問されたら後者のほうだと思う。
表情の面が少ないところがミステリアスな雰囲気があるの。
彼女もアライアと一緒で書記。学年は三年と最上学年。
許婚が選挙活動しているのを手伝い、
自分も生徒会の立候補をしているという、ちゃっかりした人。
噂では料理の味は美味しいが見た目がグロテクスなものを作るらしい。

「ぼーっとしていて女の子とぶつかっちゃいまして。」

「アライアらしい失敗だな。」

「はぅっ、エイエンさん。
それって僕が毎回人とぶつかっていると言っているみたいじゃないですか。」

「………違うのか?」

「ひどっ!?」

うわんとアライアが泣いている横で「はいはい。二人とも足を止めないで下さいよ。」と、
口では義務めいたことを言っているけど目は笑っている女の人が通る。
柔らかな笑顔が似合う彼女の名前はトウカ。
端からは清楚感がある女性だと噂されているけど、
私のなかでは彼女こそギャグの素質を持った生徒だと思うの(特にボケ)
疲れている会長に喝をいれる為にアライアがはたいたことがあるんだけど、
何故か近くにいたトウカが会長に頬を殴られたことがあってぶっ飛んだらしい。
(会長談:あれは寝ぼけていたんですよ(にこ))
そんな面白さいっぱいのトウカは二年の聖堂生徒会会計。

「元気だして下さいよアライアさん。廊下に汁を作ったら掃除する人も大変ですよ。」

「せめて涙と言ってやれ。」

やれやれと肩を竦めさせてトウカの隣にたつ男性はハース。
同僚である会長と共に生徒会へ立候補した人なの。
学園のアンケートで「お父さんにしたいランキング」でNO1に選ばれた実力を持つ。
そのお陰なのか後輩の人気に留まりをみせない。
保健室にきてくる生徒にも多数ハースファンがいて、
何故か私が恋の悩みを聞くことになっちゃっているの。
…それよりもコイツら私の存在を完全に忘れてるわね。
その方がありがたいから気にしないけど…ちなみにハースは三年、生徒会会計。
こんな肉体派な体をしているのに事務的な役職に笑っちゃったのは秘密なの。

「みんなー…書類遅いですよ!」

と、書類を運ぶ先で待っていたと思われる女の子がぷりぷりさせてやってくる。
くせっけの強い髪が印象的なあの子はリルム。
幼い頃から聖堂に暮らしている彼らと違い、
高校入学時に寮の代わりとして他国の聖堂から移転してきたらしいの。
まだ一年生なんだけど既に同じクラスの男性と付き合っている。
この間、私が不在中な保健室で見てはいけないところを
遭遇しちゃったんだけど、私の胸中にしまいこむとしておくの。
そんな彼氏に生徒会を勧められて活動をしていたら、
可愛いさに皆投票しちゃって副会長…しかも一年生でなってしまう快挙を成し遂げたの。

「ごめんリルム!ちょっとぶつかっちゃいまして。」

「またー!?」

「貴方らしいですね。」

リルムの後から付いてきた黒尽くめ男はもう一人の副会長のクロエ。
エイエンと同じように無表情が多いんだけど、
彼の場合はほんの時々笑みを漏らすところも目撃されているの。
とある噂から「クロエの笑顔は魔王が降臨する」とか同じクラスの人から聞いた事があるの。
人によって印象がここまで違う生徒も珍しいかな。
ちなみにリルムは「兄さん」と呼んでいるところから、
一時兄弟説が浮上したこともあるの(本人達は否定している)
副会長のリルムには恋人がいるけど、実はクロエにも…。
噂によると大学院にいるお酒大好きな大人な女性だと。
何処で出会ったんだろうね。

「ところでクロエ。書類はこれで全部なのか?」

「ええ。全て運びきれたと思いますが…あとで調べてみます。」

ぐるりと周りを見回してからハースの質問にクロエは頷いた。

「こんなに書類あるとは思わなかったですよー。」

「本当、疲れちゃいましたよ。」

リルムとトウカは互いに顔を見合わせて笑いあう。
全て拾い集めたアライアは遅れて「ふぅ」と息をついた。
最後の一枚を拾いあげたエイエンはアライアに書類を渡す。

「ありがとうございますエイエンさん。」

「どういたしまして。」

和気藹々とする空気が流れるけどそれを一刀両断する生徒がいたの。
パチンと両手を合わせると共に乾いた空気によく響きわたる。
一斉に音の出現場所に目を向ける。

「やあ、そんなところで御喋りしていると邪魔になりますよ?」

「通りで全員帰りが遅いと思ったぜ。」

「「「「生徒会長・議長!?」」」」

颯爽と現れた二人組みの男。
丁寧な敬語とへにゃりとした笑み浮かべている生徒がクリストファー。
生徒会長。クロエ、ハースと同期に生まれており、
彼ら三人は赤ん坊からの付き合いがあるほどの腐れ縁。
今までクラスが分かれたことがないほど。
「呪われているんでしょうかね?」と、クリストファーが呟いていたことが、
まだ記憶として新しいわね。また生徒会長には有名なところが幾つがあって、
その内の一つはたらしキングという称号を貰うほど
(本人には言えないから内密になっているらしい)
女性の心を掴むのが上手。
B級怪盗映画とかで「君の心を盗みました」的な感じなのかな。
と、私が考えている間に怪しい視線が突き刺さる。
あんまり良い方向に考えられないのはなんでだろうね。

私はおずおずと見上げる。そこには興奮で鼻息を荒くしているゼクス。
彼の名前はゼクス。三年生であり議長をしているわけなんだけどーっ、
で、データによるとゼクスの趣味はロリ……。
アライアと同じポニテ属性の癖に末恐ろしさは断然上なの。

「幼女おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」

お、男に頬擦りされるなんて死にたいのーーーーーーっ。

「あんなに喜んで。」

エイエン、嬉しいと思うツボがずれている、ずれているの。
私の叫び声は学園中に木霊する事となる。


名前:ノワール
仕事;教員(普段は生徒に紛れているフリしてる)。
性別:男

前半の部分がシリアスだなぁと思った貴方。
 計 画 通 り (ぁ)
題名どおりな話です。



押し寄せる群集。
武器を持つ人達。
ノワールは囲まれていた。
怯える子供達を壁に預けて、敵から近づけさせない。
ビリビリと光の電光が壁を作り和紙を中心に術が展開される。
どうしてこんなことになったのかノワールは状況を理解するのに精一杯で頭が追い付かない。
仕事を終えてから、ご飯の支度をしている合間に銃声が聞こえて……
眼を瞬く暇を与えず取り囲まれる。この国は非常識で狂っていると思う。
けど今日以上の非常識は今まで味わったことがない。
ノワールは足元に転がっている同胞を見た。
血だらけで正直生きていることが奇跡に近い。
和紙を貼りつけて傷を塞ぐとしても時間稼ぎが必要だと分かる。
だが敵の方も魔術対抗の鎧まで丁寧に装備していて簡単に立ち去らせることは出来ない。
ぎりっ、ノワールは口を噛みしめる。迷っている暇は無かった。

「ノワールが命ずる。式紙達、私の家族を頼みましたよ。」

和紙を壁に貼りつけて爆風を巻き起こす。
破片か飛び散り粉塵が頬にかかる。背後に突き刺さるのは不安な眼差し。
ノワールは安心させるように笑いかけた。
そして指を差して「逃げなさい」と示す。
子供達は互いの顔を見合わせて悩んでいるが分が悪いことを知り駆ける。
獣の形をしている式紙は道しるべとしてノワールの横を過ぎて飛ぶ。
遠ざかる気配の感触を受け、追撃を試みる敵に炎の和紙を放つ。

「ぐぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

肉の焦げる臭いが鼻につく。
崩れ落ちる敵の最後は見ずに同胞を担ぐ。
同じくらいある体格を運ぶのは一苦労。
まだ仕事から戻ってきていない子供がいるのも厄介な話。
家で敵が待ち伏せされている可能性だってある。
悩むノワールに追い討ちをかけるように敵が足を踏みいる。
結界として張っていた和紙が限界なのか悲鳴をあげ震える。

「仕方がないか…」

同胞を運ばせる時間は与えてくれないらしい。
ノワールの住む街は人と森の民の対立が激しい場所。
それを知って街の中に身を置いていたのだから、こんな日が来ることも予測はつく。
「しかし…誰の差し金?
私は街に暮らせるようにこの国に尽くしてきたつもりなんですけどね…あぁ、もうお払い箱?」

それが答えだと言うように敵の一人が結界を破って前に躍り出た。
ノワールは同胞を突き放して和紙から細身のレイピアを具現化――
相手の剣先と重ね合わせるように受けとめる。
そのまま斜めに傾けて剣を滑らして敵の腹に蹴りを放つ。
ある程度、相手と離れる。改めてノワールは単身で攻めた敵を見つめる。
全体に甲冑で隠された素顔。
胸元には金属のホースが幾重にも繋がれ真ん中の赤い宝玉が心臓みたいに揺れる。
そこから魔力の流れが見えた。ノワールは舌打ちをする。

「強化人間……対エルフ用…」同胞が倒された原因が分かる。
対エルフ用の武器はノワール達にとって脅威となる存在。
精霊達の力を無効化にさせ、武器となる矢は頑丈な鎧になって弾き返してしまう。
ただし強化人間には致命的な弱点がある。
この鎧を操るにはそれなりに人の限界以上の力が必要な為に薬を使い続ける。
そのため強化された人間は強靭な精神力が必要となる。
1000人試して一人の適合者がいれば運の良い方。
また、強化人間は短命でもある。実働させて三日間保てない。それ以上は精神崩壊に繋がる。

「さて貴方の命はあと幾つなのでしょうかね?」

「………」

「まあどちらにしても……生きるか死ぬか……」

ノワールの足が下がる。
敵は足を踏み出す。
周囲を見渡して敵の数を確認する。良い具合に風が室内を冷やす。
タイミングを見計らい、ノワールは和紙を投げる。敵も一斉に攻めてくる。
ノワールが投げた和紙の先は足元。
「収集」和紙が冷気を吸い込み、氷の柱を作る。
魔力の風が流れ対象者に触れた瞬間、
カチカチと音を立てて下半身から全域に氷が忍びよる。
敵の攻める足が不自然な格好で止まる。


氷のオブジェの完成―。


「案外呆気ないものですね。」ノワールは踵を返す。


バキバキ――――


内側から外へと割れる音。
振り返るノワールの眼に映ったのは幾重にも亀裂が走る氷の物体。

「この場所は確か―――」

ノワールの声をかきけすほどの爆発音。
氷の破片が周囲に飛び散りノワールの頬を掠める。血が垂れる。
蒸気みたいに漂う煙が晴れる時、甲冑を象るヒトがいた。
ノワールは笑う。

「簡単にはいかないですか…」

この世の覇者みたいに仁王立ちした相手は威圧的な空気が漂う。
敵が腕を上げた。急速する風の流れからノワールは咄嗟に右ステップを踏む。

ビュッ――――――

敵が腕を下ろすとノワールの直感通り風がうねりをあげて猛突進。
巻き込まれた家具達は木っ端みじんに消し飛ぶ。
くるりと身体を回転させて勢いをつけて敵に向けて全力を注いだ。


「こんな感じかな。」

「ノワール何書いているの?」

ノワールは先輩の言葉にメモ帳から顔をあげ振り向き笑いかける。

「私の武勇伝物語。ちょっとした乙女の夢よ。」

このあとはバシバシと敵を倒してミネ・フジコみたいなスタイルと
クールな感じで孤児の子供達を救うヒーロになるのと。
ノワールが言うとシスターは「甘いわね」と指を示す。

「そんなんじゃ、面白くはないわ。どうせなら……」


「はぁはぁ。」

ノワールは死んだ敵を見下ろした。顔を覆い隠していた仮面をそっと外す。
どんな敵がこんなにも自分を悩ませたのか知りたかったから。
戦った相手の顔ぐらい拝んでも罰は当たるまい。
目に飛び込んでくるのは愛しい者の死。

「ど、どうして。」

ふらりと足をふらつかせ高鳴る胸を抑える。
恋人は街中でひっそりと暮らしている筈。
巻き込まないように別れ交わしたのに。
まさか上の者に知られていた。
ノワールは自分を追い込むために仕掛けられたことを瞬時に悟る。
芽生えていく憎悪。仮面をもつ指先が震えていき。

「こんな世界があるからいけないんです。私はこの世界の神になる。」


「・・・どこかのパクリっぽいんだけど?」

「ええー。結構良い案だと思ったんだけどね。」

シスターは残念そうに肩を落としていると、今度は別の先輩が二人の元に歩む。

「二人とも、お話というのは読者がドキドキするような展開が必要なのよ。」

「「なるほど!」」

「私が例をだしてあげましょう。」

熟年のシスターは指をビシと立てると口を開く。


「はぁはぁ。」

ノワールは死んだ敵を見下ろした。顔を覆い隠していた仮面をそっと外す。
どんな敵がこんなにも自分を悩ませたのか知りたかったから。
戦った相手の顔ぐらい拝んでも罰は当たるまい。
目に飛び込んでくるのは自分を殺すように仕掛けた上の人間だった。
一瞬、ノワールは見間違いかと考えるが、
眩いばかりの頭のてかりがまさしく本物だと告げている。
嫌みったらしい金歯がまさに上の人間の象徴を示すもの。

「一体、誰が私を殺すように。」

「ふふふ、俺ですよ。ノワール。」

倒れていた筈の同胞が立ち上がる。

「貴方が敵だったんですか。それにしては随分なやられかたですね。」

美形と称される森の民でもここまで顔面を殴られたらかたなしである。
鼻血を垂らしているところがさらにマイナスポイント。
綺麗なものをこよなく愛するノワールは目を逸らす。

「それで私の命を狙った理由はなんです?」

「それはノワールが俺の眼鏡勇者(?)物語の第一巻から最終巻をぬす…」


「ストーーーップ!!ご近所さんのネタを使わないで。
しかもシリアスな展開の前置きがぶち壊されてるよ。」

「クラッシャーもまた一つの技よ。」

ノワールは思う。
この先輩二人組みに物語を書かせたらまとまりのないものになると。
もう既に物語を書く気分は失ったのかノワールはメモ帳を閉じた。

※ただのパラレルもの(笑)

バベルの塔を築きあげて神々の怒りに触れた人間。
言葉をバラバラにさせてしまい争い、憎しみが生まれる。
このままだと人は憎しみに支配されて死んでしまう。
だけどとある神官は神に呼ばれることとなった。

と、いう前置きをおかないと分からない罠なの。
昔、ノワールちゃんの友達が書いてくれたものの一部を抜粋したものだから。
一見、シリアス風味だけど最後はオチがついているの(笑)

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