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幼女と歌い手、何処かへ旅立った医者が暮らす場所
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前半シリアス、後半…やっぱりオチがある。
僕、基本シリアスって書けないんですよね。


『僕はきっと長くは生きられないでしょう。
呪術を学習してから短命だということは定まっておりましたが、
思った以上にその死期は早まってしまったようです。
命を削りすぎました。
周囲からみれば自業自得であり、
馬鹿な人間だと思われるかもしれませんが、
僕は後悔などしてはいない。いつでも死ぬ覚悟は出来ている………と、
書きたいところ山々なのですが、
死というものが身近に迫って僕は初めて恐怖をおぼえてしまった。
誰にも知られずに命をとぎらせる。それが僕の交わした約束であり、
最重要のものだったはずなのに、今は忘れられることが何よりも恐ろしい。

だから僕は……。

自分を生かすために旅に出かけようと思います。
もし見つからない場合は……僕という存在を消してから一人で死のうと思います。
気持ちと行動に矛盾が生じているのはわかります。
相反する行動を取ろうとするのは。

ああ…。

なんか分かったような気がします。僕は………』


「欝な日記」

僕は自分の日記帳を閉じる。
聖堂にて僕と同居しているというリルムに教えられた部屋に行き、
そこで記憶喪失時の時に手に入れた日記とはまた別の日記を見つけた。
自分の健康状態を詳細に記入してあるもの。
僕がただの健康オタクでなら気にもとめなかったが、
服を脱いでから覗いた自分の身体を知っている身としては、
異常な状態ということは誰に説明されなくても分かる。
何気に手袋をはずした時が一番の衝撃だったのが頭によぎる。

「何かみつかった?」

「ううん。それといって何にもなかったよ。
エスカありがとう。なんだか探していたりしたら朝方になっちゃったね。
あとは自分で探してみるよ。」

記憶喪失でも受け入れてくれたエスカには悪いけど、
早々に帰っていただくことにした。
こんなものをみせたら僕の心配どころか自分を責めてしまいそうだから。
僕はエスカに手をふり帰りを見送ってから、
ベッドに腰を下ろして溜息をついた。
『アライア』が何をしたいのか気持ちは察することは出来る。
結局自分自身なのだから、同じ境遇に立たされたら行動はまったくの同一になる。
そんな複雑な思いが僕の中で巡る。
短命だということも頭の中で理解をしてしまっているところが、
性質が悪いのかもしれないね。

「ちょっと待てよ。僕が記憶を取り戻す前に、
寿命についていろんな手をうたないといけないじゃないか。
このままポックリ逝くのはいやだよ。」

室内を見渡す。何か僕の寿命に関する打開策がないか。
やはり二人暮らしをしているのか、荷物はいろんなものが置かれている。
リルムと僕が共に暮らしていたことが部屋の状況から推理が容易に想像つく。
彼女には悪いことをしたかなぁと、髪をくしゃりとかきあげた。
この先、誰かと再会するごとにあんな顔にさせてしまう可能性があると、
考えてしまうだけで気持ちは沈んでしまう。
きゅうと日記を握り締める手に力が篭められる。

僕は暗くなる自分の思いを振り払うように意識を寿命に集中させていると、
本棚が目に入る。がぁらとは違う異国の字。
だけど僕はこの異国の字を知っている。
おそらく僕の故郷の書物なのは確か。
僕はその選り取りみどりな本の中で気になるものをとりだす。
ぼんやりとペラペラ本を捲っていると

「……・・・あっ」

見つけた。寿命を永らえさせる方法。
考える方法を使えばほんの少しでも命は永らえさせれる。
ただ時間稼ぎがしたい。とてつもない年月がかかりそうな手法。
一年未満では決してかなわないのは分かる。
僕は自分の頭を触れてから…ふと「そうか」と漏らす。
この方法を使えばほんの少しでも長生き出来る。
夜明けを示す太陽の光がやけにまぶしく感じられた。
悩んでいる暇なんてない。僕の選ぶ道はコレだ…。

ごめん。僕の知り合いだった方々。

もう少しだけ僕は君たちのことを忘れさせてほしい。

 

「で、自分でこういうことを決めたのは良しとして、
此処はどこなんだよ!!!」

記憶を戻すのを後回しにした僕はただいま絶賛街にさまよい中。
買い物を頼まれて引き受けたのは良いとして、
自分がすっかり記憶喪失だということを忘れて出掛けたよ。
僕の記憶はなんだかあやふやみたいで、
故郷の文字とか覚えている癖に地理はさっぱりと抜け落ちているんだよね。
もともと、頭の中に入っていないオチだった嫌だな。
なんでがぁらの街はこんなに複雑なんだろうか。
うわぁぁぁん!誰かに縋りたい気分だけど、我慢したの。
変な人だと街に噂を広げさせたくないから。
うーうーと、僕が唸っていると「あれ?神官のお兄ちゃんだ!」と、
声をかけてくれる子供がいた。
パタパタと風船をもって駆け寄る姿はかわいいものが………

いや、どうしよう。

僕はガキじゃなくて子供が苦手。
接し方が分からないんだもの。
本当に神官で良いお兄ちゃんとして務めていたのか不思議なくらいだよ。
さささと、後ずさりはするんだけど、子供の迫力は馬鹿にできない。
ジャンプして僕の懐に飛ぶ。

「ちょっ!?」

体重がみっしりと腕にくる。

重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い
重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い重い×100

そんな思いを念じていると、子供が顔をあげてにぱぁあと笑う。
しかめっ面になりかけて僕はあわてて笑顔を作る。

「どうかしたの?」

「何でもないよ。」

「(なら来なくても良いのに)そう?」

「そういえば神官のお兄ちゃん雰囲気変わったよね。」

やはり敬語を抜かして話したのがまずかったのかな。
僕はどうしようと頭を抱えさせて悩む気持ちでいたけど、
子供はなんでもないように
「でも僕は神官のお兄ちゃんがどんな人でも大好きだよ。」と。
変な子供だなぁと裏を読んでみようとするけど、
きっと直感で口走ったんだろうと僕は推測して止める。
少なからずこの子供の事を知らないのだから、
記憶ある僕はそれなりに良いことをしたんだろう。
ほんのちょっぴりだけど記憶ある僕自身も好きになった。

リルム、エスカ、この子供……この先、いろんな人と出会うかもしれない。
僕とかかわった人達をみる限りは記憶ある僕は愛されていたようだ。
心が温かくなる感覚に思わず笑みを浮かべかけ、

「と、ところで前の僕はどんな感じがした?」

恥ずかしくなり隠すように子供に質問をした。
前の自分の印象を知りたいからと自分に言い聞かせる。
僕の質問に子供は微笑んで答える。

「うーんとね。ヘタレ、ドジっ子、ナメクジみたいな感じ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・前言撤回。
やっぱり記憶のある僕なんてだっきらいだぁぁぁぁぁっ!!!!!
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